工業簿記は、商業簿記とどのように違うのでしょうか?
原価計算とはどう関係するのでしょうか?
製造業と工業簿記
商業簿記は、主として商業(物販業や流通業、サービス業)を営む事業を対象としたものでした。
これから学ぶ工業簿記は、複式簿記の原理を製造業に適用したものです。
商業簿記の対象とする商業では、
1.商品を仕入れて
2.商品を販売する
の、大きく2つの活動に大別できます。
これに対して、製造業の場合は、
1.材料を仕入れて
2.製品を製造して
3.製品を販売する
の大きく3つの活動に分けられます。
ご覧になって一目瞭然のように、仕入と販売の中間に、
製品を製造
があるのが、製造業の特徴です。
そして、この「製品を製造」の部分を記録するのが、工業簿記に役割になります。
商業と製造業の違い
上記のように、商品を外部(仕入先)から仕入れて、基本的に加工せずそのまま、外部(得意先・顧客)に販売するのが商業(流通業)です。
これに対して、製造業では、外部(仕入先)から仕入れた部品や材料を、自社内で組み立てや加工といった製造行為を加え、付加価値を付けた「製品」に作り上げた上で、それを外部(得意先・顧客)に販売するという点が最大の違いになります。
これも、外部から材料を仕入れ、従業員への労務費や外部への諸経費といった費用が発生し、最終的に売上高に計上されるという点では、商業簿記で対応できそうです。
しかし、仕入れた材料や部品に対し、労務費や経費をかけて付加価値を上乗せする「製造」という、外部から見えない行為をも記帳することが、工業簿記の特色です。
したがって、外部とは関係のない内部の活動を記録するという点から、管理会計と密接な関係を持つことになります。
原価計算との関係
工業簿記では、複式簿記の原理(借方/貸方、勘定科目)に基づいて、材料の加工から製品の完成にいたるまでの製造活動を、勘定に記録します。
そのため、この材料~製品までの製造活動を分析して、製品の製造に要した材料、賃金・給料、諸経費などの費用を計算することになります。
この製品の製造に要した費用つまり原価を算定する手続きのことを「原価計算」といいます。
つまり、複式簿記の原理によって、製造業の製造行為を記録するために、そのための勘定科目を設けて、原価計算を通じて、必要な数字を、各勘定に記録していきます。
こうすることで、製造という活動が勘定科目として明らかにされるばかりでなく、原価計算についても、貸借平均の原則(借方合計と貸方合計が必ず一致する)によって、計算された結果が正しいかどうかを確かめることができます。
したがって、工業簿記と原価計算の密接な結びつきによって、製造業の内部で行われている製造行為に関しても、記録・計算が可能となり、経営成績(損益・P/L)や財政状態(B/S)を正確・明瞭に知ることができます。